Rain World Downpour 槍マスター編プレイ時の雑記とらくがき

槍マスくんは他のスラッグキャットより大きな尻尾から槍を生成できる。
ノーコストでいくらでも作り出せるので武器には困らないし槍が刺さる壁ならどこまでも登っていけるぞ!
ただ生成するときの音が「ミ"チ"ミ"チ"ミ"チ"ッ"」って生々しいのなんかちょっとなんか

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スタート地点はどこかの見知らぬ暗いゲート。
とりあえずは槍生成のチュートリアルを確認しつつ進もう。槍マスくん両手に槍持てるの戦闘慣れしてる感じでいいね。

水中のパイプを抜けると明るい屋外に出、更に進むと物凄く見慣れた景色…なんとサバイバーとモンクのスタート地点に出た。
聞くところによるとサバイバーとモンクがOuter ExpanseからOutskirtsへ流されていった道が存在するらしいんで、多分今までの道中がそうだったんだろう。今度ちゃんと確認しに行きたい。

開始直後から見たことない赤色のガイドに見守られている。槍マスくんも誰かしらのイテレーターからの使いっぽいね。赤って誰だ?
赤ガイドはペブルスのところへ案内しようとしてくれてるけど、でもその前にまずムーンのとこ行くね。いやだってほらどういう状態か気になるし心配だし

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槍マスくんには口がないので生成した槍経由で食事をする。
槍は一度手から離れるまでは槍マスくんと細い管で繋がっていて、他の生き物に突き刺しエネルギーを吸い取ることによって腹を満たす。
エリア中を徘徊し動き回る生き物を狙わなくてはいけないのでコレが結構骨が折れる。幸い生き物は多く生息してるので食事の機会はわりとあるけども。
待ち伏せするタイプやその場から動けない植物系の捕食者はいいおやつになるけど、相手も捕食者なので逆に槍マスくんが食べられるリスクだってもちろんある。
なので何の苦労もリスクもなく手に入る木の実等が食べられないのは結構つらい。
槍マスくんでも唯一食べられる植物、ポップコーンプラントも他のスラッグキャットなら満腹になるまで食べられるけど槍マスくんはゲージ5個分しか回復しない。
一日眠れる分は満たせるものの、頼りっぱなしじゃいられなくなってしまった。
このゲームにおける数少ない良心が…食べられるだけありがたいと思おう。

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なんやかんやでShorelineまでやって来ると何かいつもと様子が違う。
確かにShorelineの面影を感じるけどやけに水がキレイで構造物が多く残っている…Waterfront Facility(臨海施設)なる場所へ来てしまった。
コレはまさか時系列の最初のほうなのでは…?
ということはムーンが崩壊する前なのでは!?
瓦礫の中に佇んでるムーンでなくまだ稼働してるムーンに会えるのでは!!?
是非会いたい見たいすぐにでも!!
探索もそこそこにムーンのもとへ急ぐぞ!!
…しかしこのエリアで道に迷うわ食料足りないわ捕食者に喰われ続けるわクラゲ食べようとするとエラー落ちするわ(現在は修正済み)でしばらく足止めをくらうことに――!!

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道中、アンテナのような植物のようなモノを見かけることがある。
そこから出ているひし形のホログラムに触れるとイテレーターの通信記録を見ることができる。
その中の、Seven Red SunsNo Significant Harassment(以下サンズハラスメント)の二人が槍マスくんの使命を語ってくれている。

記録の中でサンズは自身の過ちを悔やんでいた。
「…昔、ある人物に機密情報を漏らしたことがあるんだ…実行すると危険なものを」
「その情報は責任もって使える状態ではなかったことを知っておくべきだったんだ」
「内容とか誰に、ていうのは教えてくれないんだな」
「ほら、話したいことがあれば聞くぞ? 僕達は問題を解決するために作られたんだからな!」
「そいつが失敗して怪我しないか心配なのか?」
「すでにそうなってるんだ」
あぁ、あの情報ってサンズが教えたものだったのか…。
パールの記録を見ていくとそのあたりのことはわかってくるけど、この情報によってペブルスに腐敗が発生してしまったワケで。

名前を伏せてもハラスメントにはペブルスのことだとわかっていた。
彼を心配してるのはお前だけじゃない、あんまり自分を責めるなよと励ますハラスメント兄貴。
そしてサンズは一切の通信を遮断してるペブルスに対して行動を起こしたという。
「前回どうやって機密情報を伝えたか知ってるか? 確かにブロードキャストネットワークを通したものではなかった」
「使者を手配し情報を記録したパールを陸路で運んでもらったんだ」
「斬新だなぁ」
「…でもこの方法でうまくいったのは事実だ」
「情報は届けられ、使者も無事に帰ってきた」
「別のメッセージを伝えるために、最近また使者を送ったんだ」
その使者が槍マスくんだったのか! ということは赤ガイドもサンズのものなのね。
槍を生成できるのも道中の危険から身を守るためにサンズがそう作ったそうな。

ハラスメントは連絡が取れなくなってるムーンのことも心配していた。
「彼女は自ら僕達を排除するような奴じゃない。システムが酷く損傷してるんじゃないか?」
「でも私たちにできることはあまりないだろう?」
「今はムーンが応答してくれるのを待つしかない」
「でもこれ以上状況が厳しくなるのなら、ちょっとしたケアパッケージを送るかもしれない」
後にハラスメントがハンターを作ってムーンのもとへ送ったのもサンズの方法を参考にしたんかな。
こうして他の時代との関連が見えると「おっ!」ってなるね。

***
ボコボコズタボロ満身創痍のやっとの思いで東のゲートに辿り着く。
カルマレベル最低値でも通してくれるの助かる。さすがムーン優しい好き

ゲートをくぐった先はペブルスのThe Exteriorによく似たエリア。
イテレーターの脚部であるThe Leg同様縦に長いマップを登っていく。
やっぱり同じイテレーターだし似たような構造してるんだなぁ。

イテレーター本体の底面部分…ペブルスでいうとこのUnderhangまで来ると危険な捕食者と交戦することが増えてきた。
四方八方からにじり寄ってくるシアン白黄青のトカゲだけならまだしも、麻酔針を飛ばしてくる大蜘蛛スピッタースパイダーや視線の先を爆破するやべー怪鳥ミロスヴァルチャー等、ただでさえ関わりたくない生き物たちが怒涛の勢いで押し寄せてくる。
ヤツらはスラッグキャットだけを狙うわけではなくお互いに捕食しあう関係なので、捕食者同士対峙すれば喰うか喰われるか、それぞれの生存を賭けた壮絶な死闘が始まる。
そしてそれに巻き込まれる槍マスくん。僕はこの道を通りたいだけなんです!!
捕食者ひしめく過酷な状況下じゃ槍がいくらあっても足りないし生成が間に合わない。
そしてこの激戦は落下死の危険が付きまとう足場の悪いエリアで勃発するんだ。冗談キツいぜハハハ
ドロップウィッグ(天井に張り付いて獲物を待ち伏せする虫)がもはや癒しに感じるよ。

***
何度も喰われ落下し爆死し、散々道に迷った末やっとムーン内部に侵入。
ムーンに会う為に何度も通った場所…後の時代でボロボロになって浸水してしまう部屋を感傷に浸りつつ通り抜けると外壁部分へ出た。
ムーン版The Wallだな。サクッと登ってしまおう。
背景に目をやると雲海の中、遠くにいくつものイテレーターと通信塔が見える。あのどれかがサンズだったりハラスメントだったりするのかな。

ここでも通信記録を発見。
ムーンが助けを求めるメッセージを送信しようとするものの、エラーにより失敗してしまう。
内部も重力が不安定になってたし、もしかして結構ギリギリの状態…?

トカゲをおやつにつまみつつ頂上へ。
遠くに都市が見える。ペブルスの街にはない巨大な球状のオブジェが目を引く。
先に進むと壁画が並んだ場所へ出る。ストリーム編でも来た場所だ。
ということはここから下方向へ進めばいよいよムーンとご対面だああ!!

***
シェルターで眠るときお絵描きしてるのかわいい

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上層部から再び内部に侵入し、いよいよムーンとご対面。
ムーンだ!! 稼働してるムーンだ!!!
よかったまだ大丈夫そうだ。もう動かなくなってたらどうしようと思ってた。
訪問するなりフニフニ語り掛けてくるムーン。ていうか普通に通信記録見れてたから気にしてなかったけど槍マスくん言葉わかる状態じゃなかったのか。

ムーンは言語理解能力を付与してくれたうえに腹も満杯にしてくれた。さすがムーン優しい好き好き大好き
そして何やら身体を調べられる槍マスくん。
「…君の身体の設計図の記録はないな。それに君みたいな極端な適応が自然なものであると考えるのも合理的ではない」
「そして君の身体には何らかの記録媒体が入っているようだ」
「勇敢な使者…君は何者だ?」
槍マスくんの身体のデータを読み取るには時間がかかる。体内のパールを取り除くことはできるけど君にとって不快なものになるしそもそも私宛のものじゃないだろう。君が本当に使者なら先に進むといい。と、ひと通り喋ってくれた。
(個人的嗜好によりムーンの口調はDLCより前のものっぽくなっています)

すると突如
「…」
轟音を立てシステムがダウンし、床に崩れ落ちるムーン。
壁にエラーメッセージが浮かびあがり、小さな部屋の中にムーンの悲鳴が響く。
しばらくすると落ち着いたのか、ゆっくり起き上がる。
「…この近くにも私のような者がいる。彼の名はファイブ・ペブルス」
「彼のもとに急いでくれ。私では彼を落ち着かせることはできず、彼の過剰な出力は私自身に取り返しのつかない損傷を与えている。もういつまで立っていられるかもわからない」
「私たちの施設を繋ぐ高架ケーブルがある。地上からペブルスに上ろうとするより橋を渡るほうが安全だ」
「急ぐんだ、Little messenger!」
元気そうに見えたけどやっぱりギリギリの状態みたいだ。
未来を知ってるからペブルスに会ったところでどうにもならないことは明白だけど…。
とりあえず今は使命を果たそう。

その後しばらくムーンと一緒にいたけど定期的にシステムダウンを起こしてしまう。
悲痛な叫びがかわいい心苦しいので早く先に進もう。

***
内部を探索してるとゲートを発見。
そこから外へ出るとThe Precipice(断崖)という場所へ出た。Chimney Canopyの上層部に似てる感じがする。
橋で行き来できる距離ってことはホントにすぐ近くで隣り合ってるんだな。

ザっと探索してから西方向へ進むとなんだか見覚えのある場所が見えてきた。
ここは…やっぱりそうだ、グルマン編で来たとこだ!
Exteriorで新しいゲート見つけてウキウキで探索してみたけど目ぼしいものは特になかったあの場所だ!
グルマンくんの時代だともう何も残ってなかったからなぁ。ムーンの崩壊と一緒にPrecipiceも全部落ちたんだろう。

***
そのままExteriorを通り抜けザザっとペブルスのもとへ。慣れたもんだな。
内部の様子も見たかったけど死にまくったおかげでカルマレベルが足りなくてゲート通れなかった。
多分後の時代より腐敗の数も少ないんじゃないかな。

小部屋の中では赤ガイドもペブルスの様子を窺っている。
「サンズ…?」
「なぜまた使者をよこしたんだ? 帰ってくれ。これ以上気を取られてる余裕はないんだ」
「これを解決できるのは俺しかいない。君は理解してくれると信じてるよ…」
するとペブルスは槍マスくんの体内から無理矢理パールを引きちぎる。
苦しそうに息を荒げる槍マスくん。胸に傷が残って痛々しい…。

ペブルスはサンズからのメッセージを読み上げる。
『ペブルス、長年の友人としてメッセージを送る』
『君の置かれてる状態を確認した。私のせいだ。君がその状況から逃れようと必死で、節度ある行動をとれないことを予測すべきだったんだ』
『それに関しては、本当に本当に申し訳ない。頼む、通信を無効にしないでくれ』
『一人で抱える必要はない…みんな君に連絡しようとしてる。君を助けたいんだ』
『君の行動は不安定になり、問題を解決することもできない』
『ムーンとの通信も途絶えていて、君が自己修復を試みたことで、ムーンは取り返しのつかないダメージを受けている可能性があるんだ』
『君がこういうことをする気持ちは誰よりも知っているが、こんな風になる必要はないんだ』
『…返事をしてくれ』

…少しの間をおいてパールを床へ落とすペブルス。
「驚きだ」
「こんな風に同情され、説教される俺の気持ちなんて、君には理解できないだろ!」
「君の助けが何の役に立つんだ!? そもそも君の慈悲深い親切心が俺をここに連れてきたんだ!」
「自分で道を切り開きたかったのに、君とムーンのせいでここに座って腐ってるんだ!」
「君たちがいなくても自分で解決して見せる! 出て行ってくれ!」
「出ていけ!!」
サンズの言葉は届かず、激昂したペブルスは赤ガイドを殺害、槍マスくんを力任せに部屋の外に放り出した。
これ戻ったら絶対即殺される奴だ。おとなしく撤退だ。

***
一旦シェルター入ろうと外に出ると通信記録を発見。
そこにはガイドを通して一部始終を見てたであろうサンズの嘆きが。
「なんてこった…」
「…」
「…すまない、少し時間をくれるか」
「…サンズ、大丈夫か?」
「…使者がペブルスのもとに到着した」
「彼は…とても激怒していて…」

***
これからどうしよう。
体内にあったパールは回収しておいたけど…槍マスくんの肉片がこびりついてて痛々しい。
とりあえずムーンに見せてみようか…。
でも口自体がないので腹の中にはしまえないし、片手に持って運ぶのは苦労するぞ。

そこで新たに追加されたオプション項目でひとつ思い出したことが。
パッセージを使ってワープしたとき、シェルター内の重要アイテムも一緒に移動するようになったとか。
前までは腹の中のモノしか持っていけなかったけど物は試し、ムーン内部のシェルターにワープしてみよう。

***
移動先のシェルターを確認するとしっかりパールもついてきてた。この仕様なら各地のパール収集も結構楽になるかも。
水中での残り酸素が表示されるようになったり、追加オプションによってプレイヤーへの優しさが出てきた。素が苦行みたいな難易度だからもっと優しくなってもいいんですよ。
もしかしてストリーム編でもペブルスの細胞もパッセージで運べたんかな。
でもアレは細胞のおかげで軽快爽快な道中だったから良し!

というワケでムーンと再会してパールを見せてみる。
「これは…」
「これはもうペブルスに見せたんだろう?」
「この件がどの程度イテレーターたちに伝わっているか知らなかった。それに他の人たちが私に連絡するためにどれほどのことをしているかも知らなかった」
パールを確認したのち、内容を自身からのメッセージに書き換えるムーン。
「ここからずっと西、ペブルスの複合施設の煙突を通り過ぎると、雲をまたぐように美しい植物が生い茂り太陽の光が降り注ぐ土地が広がっている」
「そこに通信塔がある。まだ機能してるかもしれない、最も近くにあるものだ」
「帰り道に立ち寄ってくれるとありがたい。これがローカルグループにメッセージを届ける唯一の手段なんだ」
「気を付けて」
雲をまたぐように~ってSky Islandsのことか。確かにそこにCommunications Arrayってアンテナがたくさん設置された通信塔があったな。
またパッセージ使ってなるべく近いとこにワープしよう。

***
Chimney Canopyを経由してSky Islandsへ。このゲートから行けばすぐ近くのはず。

Communications Arrayの頂上まで来るとふたつの通信記録が。
片方は内容が壊れていて送信すらできないメッセージ。
そしてもう片方はハラスメントからのメッセージだ。
「ペブルス、もう一度言う。やめるんだ。今すぐに」
「このメッセージも他のと同じようにゴミ箱に入れるのはわかってる。でも…」
「そのうちこの状況から抜け出したときに、これらを見返してみてほしい」
「自分がしてきたことへの後悔を振り返ってみろ」
普段は結構軽いノリな感じのハラスメント兄貴も今回の件は相当怒ってらっしゃる。

***
一番高いところにあるパラボラアンテナによじ登ると持ってたパールが反応し、エンディングへ。

アンテナを通じて近隣のイテレーターのグループへ向けてムーンのメッセージが流れる。

「これがローカルグループへの最後の放送になる」
「数サイクル以内に私の脚は崩壊するだろう。たとえペブルスが落ち着いても、すでにダメージは受けている」
「いつか皆が『大きな問題』の答えを見つけてくれることを祈っている」
「私はその日に立ち会えないと思う。頑張ってくれたみんなに感謝したい」
「皆が頑張ってくれたことが、私にとって大きな意味があるんだ」
「…」
「彼の行動は許せないけど、彼の不満は理解できる。私たちは全て共有しているんだ」
「最後にもう一度だけ、話ができることを願うばかりだ」
「皆、ありがとう。一人でないことが嬉しい」

ムーンが崩壊して仮死状態に陥る直前のお話でした。あぁ……。
今はこんな状況だけど、でも長い時間がかかってもお互いボロボロの状態になっても、必ず仲直りできる時が来るとプレイヤーにはわかってるのは希望かもしれない。
ストリームくん、後は頼んだぞ。

***
スラッグキャット選択画面のイラストがサンズの膝の上で眠る槍マスくんに変わった。
無事に帰還できたんだね。一仕事終えて寝顔が安らかだ。
ていうかサンズの姿が判明した衝撃よ。
サンズも槍マスくんのこと溺愛してそう。今は槍マスくんに癒されてくれ。


補足とか

・ペブルスが腐敗した経緯(パールの記録のネタバレ・個人的解釈含む)

ペブルスは怒りを抱いていた。
「大きな問題(全生物を輪廻から解脱させる方法)」の解決策が見つからないこと、自身を作った人々に置き去りにされたことに。
もう疲れた、何故こんなことをしなければならないんだ、と親しい友人であるサンズに不満を漏らす。
「『大きな問題』については誰もが無意味だと気付いているし怒っている」
「でも私たちには解決策を探すか何もしないかの二つしか選択肢はないんだ。他に何ができる? この狭い部屋の中で」
と、サンズも厳しく返すがペブルスを思っての言葉だった。
(ちなみに難題吹っ掛けた当の人間達は別の方法を見つけて先に消えていった)

イテレーターの間で語り継がれる事件がある。
ある時、Sliver of Straw(以下スリヴァー)というイテレーターが信号を発した。
「解決策が見つかった」と。
…が、スリヴァーは直後に死んでしまった。
この出来事はイテレーターの間で大騒動となった。
解決策は危険な方法だっただのシステムが壊れて誤った信号を発しただけだの様々な考察が生まれ、スリヴァーの死の瞬間のシミュレーションも何度も行われたが得られるものは何もなかった。

スリヴァーの死はペブルスの考えにも大きな影響を与えた。
「自分自身を消し去ること、ただ死ぬことこそが解決策だとしたら?」

イテレーターは自害が禁忌とされている。
その命令はイテレーターの全ての細胞に刻まれていて、自分で遺伝情報を書き換えることもしてはいけない。

ならその禁忌を破るにはどうすればいい?
自分じゃできないなら別の生物に書き換えてもらえばいい。
非常に具体的な書き換えができて、かつ特定の禁忌を無効にする以外は何もしない、都合のいい生きた有機物を作ればいいんだ。

サンズが伝えた「実行すると危険な機密情報」とはその有機物を作り出す方法だった。
可塑性神経組織の遺伝情報を温度変動によりスクランブルし、求めてる遺伝情報を持った細胞が出来るまで繰り返す(つまるところ遺伝情報ガチャを行う)というもの。
この作業は途方もない時間がかかり、並行処理を多くしようものなら管理・制御が難しくなるため非常に危険なものだった。

ペブルスは作業を開始。
処理を増やし通常よりも大量の地下水を使用し、すぐ隣にいるムーンに水が供給されなくなってしまった(イテレーターの稼働には水が不可欠)。
水の使用量を減らすようムーンから通信を試みるも、ペブルスに応答できる余裕がなかったのか無反応を貫かれ、ムーンの状態はどんどん悪化していく一方だった。

限界が近いムーンはついに最終手段として強制通信を決行。
それによってペブルスの作業が中断され制御できなくなり不具合が発生、細胞が変異。
結果、腐敗が発生してしまった。
この腐敗はペブルス自身にはどうすることもできず、増殖を続けペブルスを蝕んでいくことになる。

「お前は最悪のタイミングで俺の邪魔をした。お前は全てを台無しにした」
「あと少しだったのに。このことは決して忘れないからな」

2024/05/06